「思う」と「考える」、「私は」と「私が」はどう違うのか?という書き出しから始まった、半年ほど前の朝日新聞の記事をふと思い出しました。
この記事は、2008年に亡くなった国語学者、大野晋さんに関する記事で、「言いたいことがぴたりと相手に伝わることが大事、そのためには似たような言葉の違いに敏感でなくてはいけない」とも書かれていました。日々の生活や仕事の中で「言葉は大切だ」という実感があり、なんとなく意識してきましたが、「なんとなく」だった部分が明快になり、これを読みながら、思わず深くうなずきました。
自分の心の中で起こる小さな感情の変化を相手にピタリと届けるのはとても難しいことですが、それが可能にする語彙力があれば、コミュニケーションを億劫だと思うことも減り、対人関係全般が劇的に変化すると思います。
語彙が少ないということは、自分の想いを正確に伝える手段が少ないということ、そこから生まれる誤解を恐れると閉鎖的な行動につながりかねません。
「察する文化」は素晴らしい日本の文化だと思いますが、まずは言いたいことを相手にピタリと届ける言葉の訓練が大事です。豊かな語彙を持ち、事実と主観を区別し、伝えたいことを相手にきちんと届ける力、本当に大切だと思います。日本人の気質・文化・歴史・価値観に合わせたチームワークの在り方を追求していく上でも「日本語」は欠かせません。
大野晋さんの著書「日本語練習帳」(岩波新書、1999年)は200万部の大ベストセラーだそうです。
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